ごみ問題にフォーカス

厄介者のウニが食品ごみで美味しいウニに大変身?!

厄介者のウニが食品ごみで美味しいウニに大変身?!

全国的に発生している沿岸漁場から海藻類が無くなってしまう「磯焼け」によって、海藻をエサとする貝類の減少が問題となっていますが、その原因生物の一つとされているムラサキウニやガンガゼウニ等の厄介ウニが今注目されています。

磯焼けを発生させ、海藻が乏しい場所で育ったムラサキウニやガンガゼウニは身が少なく、食用として活用されずに駆除対象となってしまいますが、海藻の代わりに食品ごみとなった廃棄野菜をエサとして与え、養殖を試みる取り組みが全国に広がっています。

地元の名産野菜を与えてムラサキウニやガンガゼウニに付加価値をつけ、エコを意識して地球環境の変化に対応できる活動になるよう、各地で研究が進められています。

神奈川県三浦市での神奈川県水産技術センターの取り組みその代表的な活動に、神奈川県三浦市での神奈川県水産技術センターの取り組みがあります。
神奈川県でも磯焼けが問題になっていますが、駆除対象だったムラサキウニの雑食性に着目して様々な食材を与えたところ、特に葉物野菜を好むことを発見し、葉物野菜の中でもキャベツを特に好んだことから、三浦半島で育てられた流通規格外のキャベツをエサとして与え、販売可能な大きさまで育てることに成功しました。
キャベツのみで育ったムラサキウニは苦みが少なく甘味が強いのが特徴で、キャベツで育っているために磯臭さがなく、海産物が苦手な方でも美味しく食べることができます。

キャベツの産地である三浦半島では、食品ごみとして規格外品や切り取った外側の葉が大量に出るため、ウニのエサ確保が容易なことも養殖を可能にしました。神奈川県は「キャベツウニ」として商標登録を済ませ、県内のスーパーマーケットで販売されています。

愛媛県の愛南町では、ガンガゼウニに地元特産のブロッコリーと河内晩柑である愛南ゴールドをエサとして与える取り組みを行っています。

出荷規定外や切り落としてごみとなるブロッコリーをエサにすると苦みが少なく、甘味が増した美味しいウニとなります。また、自然落下して出荷できない愛南ゴールドを与えることで、みかん風味をほんのり楽しめるウニになります。
他にも、出荷後のガンガゼウニの殻を畑の肥料として活用できるかの試験も進行中です。
このように、食品ごみとなってしまう地元特産野菜を有効に使い、厄介者を美味しいウニへと変身させる持続可能な取り組みが期待されています。