海底に眠るプラスチックごみが生態系を破壊
プラスチックは柔らかく強い上に加工することが簡単なことから、日常生活の様々な場面で利用されています。
一方で、紙や木のように自然界に放置しても長い年月をかけて分解されるものではないため、ごみとして放置されてしまうとそのまま残ってしまうというデメリットがあります。このプラスチックのデメリットが問題になっている場所の1つが海底です。
海底には海辺や河川から流れ込んだプラスチックのごみが多数溜まっており、これが深刻な海洋汚染を引き起こしています。
プラスチックの怖いところは海水に強く、海底に堆積をするとそのまま残ってしまう点です。魚はこれらをごみと認識することができずに餌と同じように食べてしまい、その結果体内にプラスチックが残ります。消化できないプラスチックは、魚の生命に甚大な影響を与えます。
もう1つ、生態系に甚大な影響を与えているプラスチックがマイクロプラスチックです。マイクロプラスチックは、プラスチック物質に含まれている目に見えないレベルの小さなプラスチックのことで、海の流れによってプラスチック製品から流れ出し、海の中を漂います。
海の中を漂うマイクロプラスチックはやがて海底に堆積していきます。
この堆積したマイクロプラスチックを生物が餌と一緒に体内に取り込み、さらに食物連鎖の流れの中でマイクロプラスチックの濃度が増加していきます。この影響については、まだまだ研究段階のところがあり、はっきりとした人体への影響は確認されていませんが、有害物質が含まれていることから危険性は認識されています。
プラスチックごみの影響は海底だけでなく、海の中全体で起きています。放置された網に大型魚が絡まって死んでしまったり、水面上に浮かんでいるプラスチックを鳥が食べてしまう問題など海の生き物全体に悪影響を与えている状態です。
プラスチックは手軽に利用できて便利なイメージはありますが、自然界で分解されにくい物質です。それが海の生態に大きな影響を与えることは多くの人が知っておく必要があるでしょう。